今回はDisney+の配信で鑑賞した2025年のミュージカル映画「オデッサ」(原題:O’DESSA)の感想評価です。(※一部ネタバレ含みます)
SF廃墟×歌というとんでもない掛け合わせ。冒険的な設定、挑発的ロックビジュアルに惹かれて鑑賞しました。退廃した未来都市みたいな特殊な世界観と、歌声が響くエンタメ映画。中々尖った作品かなと。
結構低評価で、2025年作品としての日本での注目も低めですが、何故評価がそうなのか良い点悪い点と感想を語っていきます。

あらすじ
石油に似た有毒なプラズマが世界を汚染する終末世界。メディア王プルートノヴィッチが電波と娯楽を支配していた。
若き農場育ちの少女 オデッサ・ギャロウェイ(セイディー・シンク)は、母の死後、亡き父が遺した伝説のギター「ウィラ」を抱え、先祖たち 放浪の「第七の継承者」 としての宿命を背負ってサティライトシティを目指す。
ポイント①:80年代映画風の未来終末都市
都市サティライトシティのビジュアルは「ブレードランナー」や「AKIRA」的な世紀末感がある舞台。錆ついた古い建物、ネオンが鈍く光る薄暗い街、80年代の世界が夢見た?悪い方向に行った未来。人々は貧しく表情には力がない。
流れるテレビ番組もなんか昔の胡散臭いアメリカバラエティみたいな安いインチキっぽさがある。ボスで番組司会者のプルートノヴィッチは見ているだけで、気分悪くなるような悪趣味な不快感を煽り、処刑と称し対象者を整形する。
また、オデッサが農場から都市に行くまでも退廃した荒野、砂漠に大きなゴミが転がり、「マッドマックス」的な世界観も融合している。この独創的な感じがワクワクする。
この最近なかった独特な世界観は個人的に高得点ですね。
ポイント②:オデッサ役のセイディ―・シンクの歌声と演技
もう一つ注目ポイントは主人公オデッサ。農場から家を焼き、ギターを持ち放浪の旅へ。恰好は昔のロックスターのゴリゴリのロックファッション、髪形は前髪をかきあげオールバックのようなものです。
退廃的未来都市を少女のオデッサがロックな中性的服装で、元気な雰囲気で歩いていくのが、抑圧支配からの解放を感じさせる。
歌声も静かに癒してくれる感じで、歌手だったらノラ・ジョーンズに近いかなと。歌声での、愛や嬉しさや解放を力強く表現するのがとてもうまいです。
オデッサ役のセイディ―・シンクの懐かしさを帯びた声が、物語を優しく包みます。
ポイント③:オデッサとユーリの純愛
オデッサは街の店で歌うダークでミステリアスな雰囲気のユーリの圧巻のパフォーマンスを見て、惹かれ、二人は恋に落ちます。
ユーリも芸術肌で、短髪に緑髪の容姿であり、オデッサと共に中性的で不思議な輝きがあり、街からは異質な存在です。
ここでも甘い歌で二人の距離感やキラキラな恋心を歌っています。なんかオデッサが少年っぽく、ユーリは繊細な男性なので、ベットで二人が下着で寝ていても、不思議といやらしさを感じないですね。
透明で純粋な感じが映画「ムーンライト」っぽいかなと。ここらへんも本作を異質にしている要因。
まとめ:キャストと世界観は最高!
本作「オデッサ」は異質な未来都市をロックな姿のオデッサが音楽で世界を変えるミュージカル映画。
抑圧された世界を変えるのが、支配されないロック姿の少女の歌というのが、本作の独創的なところの一つ。(ここが男性ではないというところが、現代的で斬新でいい)
ただ、凄い批判されているように脚本の盛り上がりがあんまりない。そもそも「第七の継承者」ってなんだったの?だし、人物の内面の掘り下げも足りないですね。
うーん。あとオデッサとプルートノヴィッチの対決はもっとぶっとばすような快感が欲しいかなと
ですが、オデッサの歌と感情のエネルギーは凄いし、ロックファッションと終末的世界の組み合わせは、かなり独創的。
キャストと世界観はいいだけに、脚本がほんとうに残念。将来カルト的人気が出たりすると嬉しいですが、どうですかね・・・
ストーリーに不満はあっても、この映画が好きだなと感じたのは、それだけ壊れた世界に、オデッサのエネルギーのある静かな響きが染みわたっていたからかもしれません。
作品情報
公開 2025年
制作国 アメリカ
監督 ジェレミー・ジャスパー
時間 108分
出演 セイディ―・シンク、ケルビン・ハリソン・Jr、マーレイ・バートレットほか
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