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映画「ひまわり」感想

今回はu-nextで鑑賞した、1970年の名作ロマンス映画「ひまわり」の感想・評価です。(※一部ネタバレ含みます)

 

映画史に残るイタリア映画『ひまわり』。戦争に引き裂かれた愛を描いたこの名作を、初鑑賞しました。今まで観なかったことを悔やむほど、胸を締めつけられる一本です。

 

 

あらすじ

 

第二次世界大戦下のイタリア、陽気なナポリ娘ジョバンナ(ソフィア・ローレン)と電気技師のアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)は、海岸で運命的に恋に落ち、結婚する。

 

しかし、アントニオはソ連戦線に送られ、現地で行方不明に。

終戦後、行方不明のアントニオを探すためにジョバンナはソ連へと向かう。ジョバンナを待ち構えていた運命とは・・・?

 

ポイント①:ひまわりの激情🌻

 

オープニングと、そしてジョバンナがソ連に向かう道中の列車で満開の広大なひまわり畑が一面に映り、窓からのショットでひまわりが揺れる。そこでヘンリー・マンシーニの「愛のテーマ」が流れる。

 

この音楽が壮大で物悲しく、愛がありながらも絶望を感じさせる切ない曲。

列車のジョバンナのキリっとした瞳が揺れるという、情景のみで物語を情緒たっぷりに浸らせる名シーン。

 

このシーンだけで(というかオープニングのひまわりで)胸を締められるような猛烈な苦しさ、切なさを感じさせる。ここでジョバンナに対する感情移入が最高値となる。

 

こんなにも美しい映像なのに悲しさ、絶望、別れの覚悟を情緒たっぷりに感じさせる演出の凄まじさ・・・

 

ポイント②:ソフィア・ローレンの愛と無常の演技

 

陽気なナポリ女のジョバンナだが、アントニオの行方不明から表情が無となり、豹変する。

 

激情が無へと変わり、その彼女が列車や、アントニオを探すシーンで、ふと涙が見えるところだったり、悲しみが表情から滲みでる微妙な変化で感情を出す演技が抜群。

 

元々が感情を大きく表現する役柄だからこそ、際立つ。

特に、再会のシーン。一瞬の表情だけで絶望と哀愁を、ズドンと心臓に打ち込まれた感じが凄い。

 

総論:芸術的かつ激情的な名作

 

本作「ひまわり」は戦争を背景として、愛し合う男女の別れと、切なさ、運命を描いた名作映画。

 

イタリア兵士の墓の場面は壮大、また照明弾が落ちてくるシーンや、アントニオが戦争に行くところも緊迫感が秀逸。

ひまわり畑が兵士の墓と重なるような、歴史的背景を加えた演出は傑作の所以。

 

アントニオ役のマルチェロ・マストロヤンニの渋く、明るい魅力のある演技で映画に合う。

 

幸せの絶頂には戻れない、戦争で引き裂かれ、運命は動いてしまう。

 

あのひまわり畑がウクライナにあると知って、今もなお戦争に傷つく国に、ひまわりは咲き続けているのだろうかと、ふと思う。

 

・作品情報

監督:ヴィットリオ・デ・シーカ | 1970年/107分

出演:ソフィア・ローレンマルチェロ・マストロヤンニ など

制作国:イタリア、フランス、ソビエト連邦アメリカ合作

 

・似ているおすすめ映画

カサブランカ」:こちらも名作中の名作ですが、ロマンス、切なさが深い、音楽の印象が大きい。