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映画「かくかくしかじか」/感想評価|先生の「描け!」が忘れられない

今回はイオンシネマで鑑賞した、永野芽衣主演のドラマ映画「かくかくしかじか」の感想・評価です。(※一部ネタバレを含みます)

 

師弟関係っていいですよね。これが主題の映画は少ないですが、本作は真正面から描いています。筆者的にはストーリーではなく、感情に振り切っている映画なので大好物です。

 

評判の高さから観に行きましたが、期待を超える出来でした。感情の揺れ幅も想像以上でした。

 

原作は東村アキコの同名の自伝漫画。

 

あらすじ

 

宮崎県に暮らす、夢が漫画家の林明子美大を目指すため、地元の絵画教室に入る。

 

そこには、竹刀を持つスパルタで頑固者の日高先生が待ち構えていた。執拗に明子に対して、「絵を描け!」と言う先生に明子は漫画家の夢を伝えきれないまま時が過ぎる・・・

 

ポイント:①大泉洋が魅せる、スパルタ+愛情

 

ジャージ、竹刀、いかつい表情で、生徒達が描く絵を見つめ、遠慮ない言葉を投げかけてくる。

(令和の世では絶滅危惧種か?昭和でも絵画教室でこの教師はありえないか)

 

ピリッとする絵画教室が舞台だが、たまに日高先生が冗談言ったり、繊細な明子に前に受けた学校が不合格と最悪なタイミングでばらしてしまったり、笑いになりいい緩急となる。

 

原作者が日高先生役で大泉洋を指名したとあったが、まさに他の役者が考えられないような人間的魅力と少しの笑いのバランスで演じられた、はまり役。

 

ポイント②:怒られたことは忘れていない。ただそこにある

 

始めは日高先生を体験して、逃げ出そうとしていた明子だが、次第に先生の人間的魅力、絵への情熱に引き付けられ、真剣に絵に取り込む。

 

特に印象的なのは、美大に入り、何を描けばいいか真っ白の夏休みで帰った明子に、日高先生が力ずくでいいから描けと無理やり明子を絵の世界に引き戻すシーン。

 

すでに絵画教室は卒業した弟子・明子に対しての愛情、エネルギーが伝わる。

「ボヤっと」した世界にいた、奔放で計画性のない明子の背骨となるような日高先生の愛が響く。

 

明子の逃げ腰ながら、夢を追うという人柄がリアルで、日高先生の圧や働きたくないという理由で、漫画に向き合う成長も観客の感情が乗りやすい。

 

総論:「描け!林!」師弟愛が魂に響く

 

本作「かくかくしかじか」は絵に対する師弟愛を通して、普遍的な人間の愛情を描いたヒューマンドラマ。

 

永野芽衣の奔放で真っすぐ、でも怠慢みたいな人間味のあるいい演技。先生への呼びかけが温かい。夢への真っすぐな気持ちが熱い。

(あの騒動は本作では無視するということでお願いします・・・・)

 

大泉洋の頑固で癖のある、しかし人間的魅力にあふれる演技が合わさる。

 

ラストシーンは観客が涙に覆われる。先生の思いの強さ、生徒への愛情の深さにどっぷりと浸かる。感情を高ぶらせる音楽も合わさり、号泣。

 

映画館を出た後も、日高先生の「描け!」が聞こえてきそうな魂に響く余韻がある映画。

 

・作品情報

監督 関和亮  | 2025年/日本

時間 126分 |出演 永野芽衣大泉洋など

 

(公式サイト、予告動画)

     映画『かくかくしかじか』公式サイト|大ヒット上映中

映画『かくかくしかじか』本予告|2025年5月16日(金)公開 - YouTube

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