映画のある世界で

人生に迷った時は映画を…いつも迷ってるかも

映画「リトル・パレスティナ」感想

今回は2021年のドキュメンタリー映画「リトル・パレスティナ」のポイントと感想・評価について書いています。ネタバレもあるので注意してください。

 

シリアの難民キャンプの悲惨な日々を捉えた作品。

制作はレバノンカタール、フランスの合同。

 

filmarks.com

 

あらすじ

 

シリアのヤルムーク・パレスティナ難民キャンプ。ある日、道路が封鎖されたことで人々は飢え、そして砲撃に悩まされる日々を送る。

 

2013年から2015年の記録をキャンプ難民の顔、言葉、感情を中心に描き出す。

 

ポイント①:悲惨な日常

 

映し出される日々は地獄のような有様で、瓦礫に埋もれ、食べ物が圧倒的に少ない。

大人の顔は生気がなく目が虚ろで、明日への希望を失っているかのように感じる。

 

政府軍が包囲し、反体制側が抵抗、爆撃が繰り返される中、人々は爆撃か飢えかで多くの命を失っていく。

 

序盤からあまりの強いショックで言葉を失い、呆然と眺める

 

ポイント②:草を摘む少女

 

最後、街の横で食べるための草を摘んでいる10歳ぐらいの少女が映し出される。

砲撃の音が近くまで聞こえ、途中隣の建物に当たるような状況。

 

その中監督は少女に今の暮らしについて質問する。

少女は草を生で食べて、「結構おいしいよ」といい笑顔を見せる。

 

子どもも遊びも勉強もなく働き、「皆、年を取って疲れている」と諦めたような言葉を聞いて、頭が真っ白になる。

 

まとめ

 

本作「リトル・パレスティナ」はシリアの難民キャンプの飢えや爆撃で疲弊する人々の本音を生生しく捉えたドキュメンタリー

 

特に飢えによる混乱、日々の辛さが痛いほど表情と言葉から伝わり、感情を揺らされる。

 

非情な現実の中でも笑い、現実に適応しようとする子ども達の姿は印象が強い。

生きるのが困難ならば子どもの夢さえ奪われるのかとショックを受ける。

 

筆者が日常「米の値段上がった」とかで嘆いているのが、アホらしく思えてくる・・・

生きるという過酷さ、現実の非情さを真正面から映し出す。

 

創り話よりも衝撃、心に訴える力が強い、現実の恐ろしさに打ちのめされる。

 

監督  アブダッラー・アル=ハティー

公開年 2021年

制作国 レバノンカタール、フランス

時間  89分