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映画「エミリア・ペレス」感想

今回はイオンシネマで鑑賞した映画「エミリア・ペレス」のポイントと感想・評価を書いています。ネタバレもあるので注意してください。

 

第97回アカデミー賞助演女優賞ゾーイ・サルダナ)、主演歌唱賞の受賞。12部門13ノミネート。

 

怒りの爆発のミュージカルと重厚なドラマが合わさる。

 

主演はトランスジェンダー俳優のカルラ・ソフィア・ガスコン。

監督はフランスを代表する監督のジャック・オーディアール

 

 

 

あらすじ

 

メキシコシティの弁護士リタ(ゾーイ・サルダナ)は、仕事や日常に対して不満を感じていた。

ある日、リタは麻薬カルテルのボスであるマニタス(カルラ・ソフィア・ガスコン)から女性としての人生を生きたいと依頼される。

 

性転換を経て、マニタスの死を偽装し、名前をエミリア・ペレスと変えた彼女に待ち受ける運命とはー-。

 

ポイント①:怒りのミュージカル

 

日常の不満の叫びや、性転換の病院の案内などを視覚的に楽しく、そして力強いありのままの表現と、引き込まれるようなミュージカルの演出。

 

前半は主に弁護士リタ役のゾーイ・サルダナの独断場。

特にエミリア・ペレスが行方不明者の救済組織を立ち上げた後のパーティでのミュージカルシーンが圧巻。

 

エミリアがスピーチする間、周りに偉い人が何人も座る中、赤いスーツで挑発的に踊る。

この政治家もあの社長も不正をして今の地位に座っていると過激に表現するところが、社会批判もありつつ刺激的だった。

 

結構レベルが高くてゾーイ・サルダナの魅力が存分に味わえ、単純に楽しかった。

 

ポイント②:エミリアの生き方

 

女性として第二の人生を送るエミリアはリタと一緒に行方不明者の発見に力を注ぐ。

エミリアが何人もを葬ってきた獰猛なマニタスとして生きていた時の罪滅ぼしだ。

 

ここで真に社会に貢献することや、真に人を愛することにエミリアは目覚めていく。

(さすがにエミリアの過去が人を殺め過ぎてると心の中でつっこんでいたけど)

 

後半より、ミュージカル要素は少なくエミリアの人生のドラマ部分に焦点が当てられる。

 

トランスジェンダーとしての気持ちや、妻や息子に正体を隠して接する気持ちが切実に表現できていて心が痛い。

 

まとめ

 

本作「エミリア・ペレス」は日常や世間に対する怒りをミュージカルで表現、そしてエミリアの心の豊かさや愛をしっかりとドラマ部分で表現した作品。

 

エミリアの妻ジェシー役のセレーナ・ゴメスも狂気や欲望を全身から発散している邪悪な感じが良かった。

ラストシーンのエミリアの妻と子どもに対する愛情と憎悪の演出やその壮絶な生き様を表すのも凄まじい。生命力溢れる重厚な人生ドラマを味わえる。

 

フランス映画らしく、ストーリーが読めずカオスな状態に持っていく脚本が独特で面白かった。

 

怒りと自己表現、狂気のミュージカル、そして獰猛さと上品さ、愛と憎悪のドラマ部分、それを全面に出す脚本と演出とすべてが高レベル。

 

かなり特徴的な映画なので万人には刺さりにくいが、挑戦的で変化を厭わない作品なので映画好きなら楽しめるはず・・・(興行成績低い・・)

 

トランスジェンダー汚職問題、行方不明者など社会を抉るような刺激的な問題作ではある。(すべての社会の闇が合わさったような感じが)

 

 

 

監督  ジャック・オーディアール

公開  2024年

制作国 フランス

時間  133分

出演  カルラ・ソフィア・ガスコン

    ゾーイ・サルダナ

    セレーナ・ゴメス など