今回はイオンシネマで鑑賞した映画「アノーラ」のポイントと感想・評価を書いています。ネタバレもしているので注意してください。
第97回アカデミー賞、作品賞、監督賞、主演女優賞、脚本賞、編集賞の最多5冠。
R18指定なの??と軽く疑問を抱きつつ、画像の二人の幸せな恋愛映画が展開されるだろうと勝手に想像・・・
あらすじ
ニューヨークでストリップダンサーとして働くアノーラは、ロシアの大富豪の御曹司イヴァンと知り合い、恋に落ちる。身分の差がある二人の恋の行方はどうなるのか。
ポイント① 煌びやかテンションハイな序盤
映画が始まるや否や、激しい音楽と暗い店内ライトが瞬時に観る者を非現実の世界へと引き込まれる。
カメラは、アップで捉えたエロティック・ダンサーたちの姿を映し出す。上半身裸、派手な下着、男性の膝の上で大胆に踊るその姿に度肝を抜かれ、唖然とした。
(・・・即座に、R18の理由がわかる)
新鮮な映像美を駆使したアノーラとイヴァンの性的なシーンは、特に愛情表現を感じない気がした。
(何回もあることで少し観客も飽きるかもしれない)
金持ちの客とダンサーとの関係が劇的に変化し、瞬く間にベガスでの結婚。
夢のような贅沢三昧のアノーラの笑顔、前半は現代版シンデレラストーリーとなる。
ポイント② 爆発的な展開とコメディシーン
物語が進む中盤、娼婦と結婚したと思い込んだイヴァンの父親の命令で、部下が結婚を無効にしようと動き出すと、急速に展開が動く。
イヴァンが突如としてアノーラを置き去りにし、幸せに隠されたイヴァンの現実が次第に分かるにつれ、アノーラと同じく見る人を混乱させる。
アノーラは逃げようと、部下を蹴飛ばしてガラスの机が粉々になるなど衝撃が大きかった。前半から考えると全く予想を裏切る展開があった。
前半から大きく異なる、アノーラのエネルギッシュで絶望でも前向きに進む魅力が応援したいと思わせる要素だった。
さらにここからのイヴァンの逃走劇が、手下が車で吐いたり、駐車禁止で車を持っていかれそうになったりと、少し笑えるコメディを含みつつ、アノーラの心を整理させる映画的にかなり面白いドタバタ劇だった。
まとめ
本作「アノーラ」は古典的な身分の差の恋愛ストーリーを大胆で新鮮な映像と、中盤からの怒涛の展開で最先端のラブストーリーに昇華させた物語。
アノーラ役のマイキー・マディソンの体当たりの性的シーンは肉体的表現を超えて、アノーラの人生を映すような素晴らしい演技だった。
そして明るく開放的、かつ繊細な姿が観客の心にダイレクトに響き、共感させる。
特にラストシーンは、前半の性的表現や激動の精神の集大成となる、この映画だからこそ。
何が愛情ということなのかということをアノーラが理解し、成長したと感じる、表情や間だけで伝える、寂しくも温かい気持ちになるラストシーンだった。
監督 ショーン・ベイカー
公開 2024年(アメリカ)
制作国 アメリカ
時間 139分
出演 マイキー・マディソン
マーク・エイデルシュテイン
ユーリ・ボリソフ など