今作は、トロント国際映画祭で観客賞、アカデミー賞で脚色賞を取った作品。2023公開で、日本では劇場公開なし、配信だけで今年から。筆者は今月Amazonプライムで見ました。
観たら、中々考えさせられるところもあり、トロントで評価された理由もわかるかなと。主演ジェフリー・ライト、監督コード・ジェファーソン。今回は感想とかでだいぶネタバレもしています。(いままでもネタバレ多いけど)
あらすじ
主人公は文学界で燻る中年の黒人作家、セオドア(通称モンク)。文学界で評価されたいと願う一方で、彼の作品は市場に迎合しないとして商業的成功を得られず、不遇の時を過ごしていた。そんな中、彼は黒人作家たちがステレオタイプを強調することで成功している現実に疑問を抱く。
怒りとユーモアを込めて、彼はペンネームを使い、黒人のステレオタイプを極端に誇張した小説を執筆する。それが大成功を収め、業界や世間から絶賛される。しかし、モンクの皮肉な計画は次第に彼自身の価値観や人間関係を揺るがす事態に発展していく。
今作のポイント3つ
①市場が望む多様性と本来の多様性の違い。
今作でモンクは本来のステレオタイプでない個性を求めていました。単純な「黒人作家」という枠に入れられるのが、嫌なんですよね。しかし文学界で成功したくて、モンクは市場の求める多様性、黒人像を書いてしまうと。すごい黒人らしいストーリーを。
市場が求める「多様性」は、多くの場合 、消費される多様性だったと。まあ、型にハマったわかりやすい多様性が求められているわけですね。単純に理解しやすい慣れている形を小説とか映画の話に使うと、儲かるってことですねー
黒人は差別されるとか、リズムのいい曲聞いてるとか、薬売ってるとか、警官に撃たれるとかいうキャラ設定、わかりやすいですよね。本来の多様性なら、黒人がストレオタイプではなくて、内面を深く掘り下げると理解が難しくなってきて、向き合うことが観客、読者に求められると。この本質を突くテーマが映画全体にあるので、観てる人にヒットするのかなと
➁めっちゃ重い内容だけど、なんか面白い設定
上記のステレオタイプの多様性問題とか、モンク自身の家族の問題も重くて、きつい内容なんですよね。でも、なんか面白いのはモンクがペンネームでやけくそでステレオタイプの小説書いたら、「すごい!リアルだ!」って絶賛されたところですね。
おいおい、めっちゃ嘘ばっかりだぞって。さらにモンクが一番嫌いな作品に振り回されるのが、黒い笑いが出ちゃいますね。
➂家族のテーマについて
モンクの家族はめっちゃ問題が多いんですよね。また問題も次々起こり、モンクは家族の問題に向き合います。
やっぱり家族は時に面倒で、理解してもらえないと感じることもあるけれど、結局は一番身近にいる存在として、私たちを支える大きな力になると感じますね。
モンクが家族の中で不器用に向き合う姿には共感する部分が多かったし、向き合いかたも成長していく。
まとめ
話はやっぱりわかりやすい王道の方が受けますよねー。でも、黒人の悩みやキャラ、問題までテンプレにするのは、なにしてんねん!ってことですよね。(黒人以外にも言えますが)
この映画ではモンクの内面をしっかり描いていて、モンクのやりたかった本来のステレオタイプではない個性を表現できています。
ラストもこの作品らしい面白い終わり方。どうやら、Amazonプライムの独占配信。
監督 コード・ジェファーソン
公開年 2023年
制作国 アメリカ
時間 118分
出演 ジェフリー・ライト など