
映画『クルエラ』感想|ディズニー流“パンクなプラダ”はアリか?
今回はDisney+の配信で鑑賞した、2021年公開の『クルエラ』の感想評価です。(※一部あらすじや、ネタバレ含みます)
“101匹わんちゃん”の悪女クルエラの若き日を描くスピンオフで、主演は『ラ・ラ・ランド』『哀れなるものたち』のエマ・ストーン。70年代ロンドンのパンク・カルチャーを背景に、悪役の誕生をスタイリッシュに描きます。
子どもの頃、アニメ版『101匹わんちゃん』を何度も見ていたはずが……なぜか内容をほぼ忘れていました。(記憶喪失?)
エマ・ストーン好きだしみようかなと軽い気持ちで再生したら――予想以上に“当たり”な一本でした。
あらすじ
エステラ(エマ・ストーン)は奇抜なファッション好きな女の子であったが、ある日母親をパーティで亡くしてしまう。傷ついたエステラはジャスパーとホーレスという浮浪児たちと仲良くなり、一緒に暮らすようになる。
10年後、デザイナーとしての夢があるエステラは、ファッション業界のカリスマ、バロネス(エマ・トンプソン)に目を付けられ、バロネスの会社で働くこととなる。そのなかでエステラは「クルエラ」へと変貌していく・・・・・
ポイント①:ディズニー版プラダを着た悪魔?
ボスのバロネス(エマ・トンプソン)は王様みたいに感情的に気まぐれに何でも要求してきます。「プラダを着た悪魔」のメリル・ストリープにファッション業界、圧倒的なボスというところが重なりますね。
ただ今回はディズニーで、クルエラという悪役のバックボーンを映すものなので、ただのプラダを着た悪魔では終わりません。反撃どころではない、バロネスを破滅させようとクルエラは行動していきます。
(しかも、バロネスは母の敵です。恨みと憎しみが燃え上がります)
悪役ならではの、緊張と笑いもある泥棒のシーンや、クルエラとしての反逆の表し方は素晴らしいです。
ポイント②:70年代×クルエラのファッション

ポイント③:癒される犬たちが多く出演
やっぱり101匹わんちゃんなので、クルエラの相棒バディ(雑種)や、ウインク(チワワ)、三匹のダルメシアンの犬たちの表情豊かな演技も見逃せないですね。
随所に彼らのかわいさと、活躍、主人公たちとの関係が見られ、映画的にも意味が大いにあります。
犬好きは必見、癒されます。ウインクの眼帯がなんかかわいい
ポイント④:クルエラは“もう一人のジョーカー”?
エステラが“クルエラ”へと姿を変えていく過程は、ただの成長譚ではありません。もともと優しかった少女が、母を奪われた喪失感と、バロネスへの激しい憎しみの中で、怒りに身を焦がし、次第に別人格のような存在へと変貌していく。
彼女の黒と白の髪が舞う瞬間、笑みが狂気を帯びたとき、そこには映画『ジョーカー』で描かれた“覚醒の快感”に似た、危ういカタルシスが漂っています。
ジョーカーが社会に見放され、孤独の中で破壊者として覚醒したのに対し、クルエラの傍らにはジャスパーとホーレスやバディなどの犬たちという仲間がいる。
彼らはただの相棒以上の家族のような存在で、クルエラが完全な破滅型の怪物にならず、観客が彼女を“応援したくなる存在”として見られる理由でもあります。
クルエラは“怒りの象徴”でありながら、“仲間と共闘するカリスマ”。そのバランスが、本作をただのジョーカー的な暗黒ドラマに留めず、70年代パンクの熱気を背負ったポップでスリリングな物語へと昇華させています。
クルエラは“ジョーカー的な狂気”を持ちながらも、破滅ではなくカリスマ性とポップさで観客を惹きつける、ディズニー流のダークヒロイン像と言えるでしょう。
まとめ
本作「クルエラ」は母の復讐にクルエラがファッションでバロネスと真剣な戦いを繰り広げていくドラマ映画。
正直、「101匹わんちゃん」に繋がらないようなクルエラの性格面もあります。しかしその変更がクルエラをただの悪女ではなく、カリスマと過去の傷を負ったダークヒロインとして覚醒させました。
エマ・ストーン目当てで見ましたが、中々当たりだった今作。エマ・ストーンはもちろん表現力が高く、キャラの開放が上手く、魅力的で、はまり役といっていいでしょうね。
ディズニーが描くクルエラを、あなたはどう感じるだろうか。
ヒーローでもなく、完全なヴィランでもない、怒りとカリスマを併せ持つクルエラ。
70年代のパンクスピリットを纏った解放の力を持つ彼女に共感するのか、それとも恐れを抱くのか――ぜひ自分の目で確かめてほしい。
作品情報
監督 クレイグ・ギレスピー
制作国 アメリカ
出演 エマ・ストーン
エマ・トンプソン など
公開年 2021年
時間 134分
